長期優良住宅をくわしく知る ④災害配慮とその他の項目編

『長期優良住宅をくわしく知る』の第4回目は2022年(令和4年)10月に認定基準が改正された際に追加された新しい認定基準「災害配慮」と、特に変更が無かった「劣化対策」、「維持管理・更新の容易性」、「居住環境」、「住戸面積」、「維持保全計画」の5つの認定基準についてお話ししていきましょう。

目次

  1. 1.「災害配慮」とは
  2. 2. 劣化対策
  3. 3. 維持管理•更新の容易性
  4. 4. 居住環境
  5. 5. 住戸面積
  6. 6. 維持保全計画
  7. 7. まとめ

1. 「災害配慮」とは

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改正前には無かった新しい認定基準「災害配慮」とは、近年頻発する大型地震などを受けて、自然災害による被害の発生防止や軽減に配慮されているお家を指します。

具体的には、各自治体で事前に把握されている崖崩れなどの土砂災害や津波、洪水など起こる危険性が特に高いエリアにお家を建てた場合、認定対象から除外されます。

ただ、危険性が高いエリアの場合は所管行政庁が定めた措置を講じた場合は認定対象となります。

2. 劣化対策

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劣化対策の認定基準は、劣化対策等級(構造躯体等) 等級3相当 かつ構造の種類に応じた基準となっており、木造は床下空間の有効高さ確保及び床下・小屋裏の点検口設置などが必要です。

劣化対策等級のおける等級3は住宅性能表示制度の最高等級になりますが、さらに追加措置として各構造物(木造・鉄骨造・鉄筋コンクリート造)ごとに違った認定基準がプラスされます。

長期優良住宅は3世代に渡って住み続けられるお家であることを前提としているためその期間(75〜90年)分の耐久性が必要です。

そのため、外壁の軸組等・土台・浴室及び脱衣室・地盤・基礎・床下・小屋裏に十分な耐久性を確保するための基準仕様があります。さらに、上乗せの基準としてそれらを適宜点検するための点検口と十分なスペースを設けることが必要になります。

3. 維持管理•更新の容易性

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この項目の認定には、構造躯体に比べて耐用年数が短い設備配管について、維持管理(点検・清掃・補修・更新)を容易に行うための措置が講じられている必要があります。

具体的には維持管理対策等級(専用配管)等級3相当となっており、配管が躯体に埋め込まれていないことや、点検口が設けられていることなど長期的に使用するにあたってメンテナンスや交換が容易にできるように設計されている必要があります。

4. 居住環境

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この項目では、これから建てるお家が街の景観などを考慮し居住環境の維持及び向上に配慮されているかが認定の基準になります。

京都では景観条例があるように、各市区町村ごとの地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等の内容に合わせ、既存のまちなみと調和させる家づくりが必要です。

5. 住戸面積

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良好な居住水準を確保するために必要な規模を有することとなっており、一戸建ての住宅の場合は75㎡以上で、階段部分を除く1の階の床面積が少なくとも40㎡以上です。

また、地域の実情を勘案して所管行政庁が別に定める場合は、その面積要件を満たす必要があります。

6. 維持保全計画

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この項目での認定取得には、建築時から将来を見据えて認定取得後に定期的な点検を行い必要があれば補修を行うための計画を予め作成する必要があります。

また、法律では以下のことが義務付けられております。

(1)定期的な点検

・構造耐力上主要な部分(基礎、土台、壁、柱、小屋組、梁、筋かい等)

・雨水の侵入を防止する部分(屋根、外壁及びそれらに設ける開口部)

・給水設備・排水設備(給水又は排水の配管設備)

(2)点検期間 / 建築後、30年以上行う。

(3)点検頻度 / 少なくとも10年毎に行う。

(4)点検結果を踏まえ、必要に応じて修繕等を行う。

(5)地震及び台風時に臨時点検が必要。

(6)住宅の劣化状況に応じて、維持保全計画の見直しを行う。

認定取得後の話になりますが、所管行政庁から報告を求められた場合には維持保全の状況等について、記録や保存している資料に基づいて報告をしてください。認定を受けられた方が計画に従って建築・維持保全を行わず、所管行政庁に改善を求められ、それでも従わない場合は、長期優良住宅の認定を取り消されることがあります。

認定取り消しの場合、新築時に長期優良住宅の認定取得を条件とする補助金の交付を受けている場合、返還を求められることもあります。

長期優良住宅のデメリットとしてこの維持保全計画を上げるブログなどもありますが、安心安全で快適に暮らし続けるための点検ですので、デメリットと言わずに積極的にお家の状態を知って長く暮らしていただきたいです。

7. まとめ

さて、4回に分けてお送りしました長期優良住宅を詳しく知るでしたがいかがだったでしょうか。

基準を満たすための施工方法の詳細などは割愛しましたが、概ね現在の長期優良住宅の認定を受けるために何をしなければならないかをご理解いただけたのではないでしょうか。

次回は、最終回として認定住宅が享受できる税制優遇などに触れていきたいと思います。

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