今回のブログでは少しマニアックな言葉「デグリーデー」についてお話ししていきたいと思います。
地域のデグリーデーを見ることで、寒さ・暑さをしのぐためのシーズン毎のエアコン稼働時間がわかり、快適な生活を送るためにその地域で最低限必要な空調負荷を知ることができます。
1. デグリーデーとは
温暖化の影響で、気温が高い日が多くなっている日本ですが、気温が高くなれば当然エアコンで冷房をつけて室温を下げることになります。
この冷房をつける基準温度を26℃として、冷房の室温設定も26℃とした場合、1日の平均気温がそのシーズン中に初めて26℃を上回った日と最後に上回った日を冷房期間として設定温度の26℃と日平均気温との差を積分していったものが冷房デグリーデー(※単位は℃日)になります。また、反対に暖房をつけた場合は暖房デグリーデーになります。
このデグリーデーとはその地域における寒暖の指標で、建物の冷暖房に必要な概算熱量などの計算に用いられます。
わかりやすく例をあげます。ある場所では20XX年5月15日に、その日の平均気温が28℃になったとします。平均気温が26℃を上回った日はそのシーズンで初めてでした。冷房設定温度は26℃なので、28℃(その日の平均気温)-26℃(冷房設定温度)で冷房デグリーデーは「1日で2℃」 になります。翌日の平均気温は32℃でした。26℃との差は6℃なので前日の2℃日に加算して「2日間で合計8℃」、この計算を繰り返しシーズンでのトータルを求めたものが冷房デグリーデーとなります。
暖房デグリーデーでも考え方は同じです。基準温度を初めて下回った日から計測を始めて、暖房設定温度と日平均気温との差を加算していったものが暖房デグリーデーとなります。
これらのデグリーデーは計測する地域によって数値が変わるため見比べることによって、その地域でどれぐらい空調負荷がかかるのかを知る事ができます。
暑い地域は冷房デグリーデーが大きくなり、寒い地域は暖房デグリーデーが大きくなります。また、どちらも大きい地域は暑さ寒さが厳しい、言い換えれば空調負荷が高い地域という事になります。
2. デグリーデーの求め方
冷房デグリーデーは、
対象地域の統計上の日平均気温θo(i)が、冷房設計室温θrc以上となる冷房日数m日間について(θo(i)-θrc)を合計したものである。
暖房デグリーデーは、
対象地域の統計上の日平均気温θo(i)が、暖房設計室温θrh以下となる暖房日数n日間について(θrh-θo(i))を合計したものである。
※今回の図では冷房設計室温θrcを26℃,暖房設計室温θrhを14℃とした。
また、対象地域の統計上の日平均気温は、気象庁ホームページで公開されている過去の気象データなどを利用すると希望エリアのデグリーデーが求められます。
3. デグリーデーでわかること
対象地域の冷房・暖房デグリーデーを調べることで、その地域の年間を通した空調負荷が確認できます。空調負荷は言い換えれば、年間どれぐらいの時間エアコンを稼働させるかということなので、この値は光熱費に直結します。
また、出典の研究結果や昨今の長引く夏などから近年は以前と比べて、暖房負荷が減少し冷房負荷が増加する傾向が見られるようです。
それでは実際にデグリーデーを計算して、空調負荷を調べてみましょう。
計算方法は先にご紹介した公式と気象庁が提供している過去の気象データを使って、今回は東京・京都・福岡の冷房、暖房それぞれのデグリーデーを求めてみます。
期間は2023年6月から2024年4月末で、冷房デクリーデーは26度以上を基準として、暖房デグリーデーは14度以下を基準としました。
気象庁からダウンロードしたデータは、エクセルやGoogleスプレッドなどの表計算ソフトで処理していくとわかりやすいです。
データは期間中の日平均気温が一列に並んでいますので、その値に対して冷房デグリーデーであれば26を引き、暖房デリーデーであれば14からその値を引きます。マイナス値になった日はカウント外になるので削除して、残った数字を全て足すとそれぞれのデグリーデーが求められます。
先の計算方法より、
東京(千代田区)は暖房デグリーデーが736.1℃日、冷房デグリーデーが228.6℃日、合計で964.7℃日、
京都(京都市)は暖房デグリーデーが856.1℃日、冷房デグリーデーが289.1℃日、合計で1145.2℃日、
福岡(福岡市)は暖房デグリーデーが566.8℃日、冷房デグリーデーが246.9℃日、合計で813.7℃日、
となり、この3地域の中で京都が一番空調負荷が高いことがわかりました。
つまり、京都こそ省エネで快適な生活を送れる高性能住宅が必要な地域ということです。
4. まとめ
今回、実際にデグリーデーを計算することにより、具体的に冷暖房がどれぐらい必要かを数値化すると京都の人が語る「京都は底冷えする」や「京都の暑さは厳しい」といった言葉の裏付けになり、実際に京都での生活を快適に送るにはエアコンによる室温調整が不可欠という結果になりました。
しかもこの空調負荷の値は、同じ省エネ基準地域区分よりも大きく京都での生活こそ高断熱・高気密の省エネ住宅が必要だとご理解いただけたかと思います。
冷暖房により快適な室温になった後、それを長時間キープできる省エネ住宅はエアコンの使用電力を下げ、光熱費を抑える事に繋がります。
タカハシでは、最小限のエアコン台数で家中快適に過ごせる家づくりを行っております。省エネと快適が同居する、エコで住み良いお家づくりを一緒に考えていきましょう。
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