「 長期優良住宅 」について

お家造りは本当に難しいものです。
勉強しなければならない事がいっぱいあります。

お家の構造・強度・断熱性能・デザインなど、あげればキリがありません。
それに合わせて、購入のための資金繰りも勉強が必要になってきます。

今回はその中で、みなさんがよく耳にする 「 長期優良住宅 」 についてお話しします。

目次

1. 長期優良住宅とは

具体的には、法律で決められた厳しい基準である

  1. 構造躯体の劣化対策
  2. 耐震性
  3. 可変性
  4. 維持管理・更新の容易性
  5. 高齢者等対策
  6. 省エネルギー対策
  7. 住戸面積
  8. 居住環境への配慮
  9. 維持保全計画

をクリアして国土交通省から、長期にわたり安全に住める家だと認められた建物のことを長期優良住宅と言います。

2. 認定に必要な9つの条件

blog19-01.jpg

それぞれもう少し詳しく説明していきます。

【 1. 構造躯体の劣化対策 】

新築住宅の場合は劣化対策等級3以上の性能が必要になります。 この条件を簡単に説明すると、大規模な改修工事をせずに住宅の構造躯体が3世代にわたり使用できる耐久性を持っているお家であることが条件です。木造住宅であれば、梁や柱に太く強いものを採用し強度を高め、床下・小屋裏に点検口を設置、また床下空間の有効高さを330mm以上確保する必要があります。 また、 鉄筋コンクリート造の建物であれば、建築に使用するセメントを濃く・厚くする必要があります。

【 2. 耐震性 】

大規模な地震が発生した場合でも、損傷が少なく 少しの手直しで暮らし続けられるような強さを有すること。 具体的には建築基準法で想定される地震力の1.25倍(耐震等級2等級)、または1.5倍(耐震等級3等級)に耐えられる強さが必要です。

※長期優良住宅では耐震等級は2等級以上ですが、高橋の高性能住宅は基本的に3等級で建てております。

【 3. 可変性 】

家族構成が変わったり、ライフスタイルの変化により新たな住まい環境を作るために 間取りの変更や、リフォームを行いやすい構造をしていること。また、躯体天井高が2,650mm以上必要になります。

【 4. 維持管理・更新の容易性 】

3世代にわたり使用する駆体に比べて短い期間でメンテナンスを必要とする配管や内装などの設備に対して 維持管理(清掃・点検・補修・更新)を容易に行うために、新たに開口部を作る必要がなくスムーズに作業ができる構造であること。

【 5. 高齢者等対策 】

将来のバリアフリー改修工事に対応できるように、車椅子が通りやすいような広い廊下や、出入り口などが予め考えられた設計であること。

【 6. 省エネルギー対策 】

断熱性能・気密性能が高く、省エネルギー性能が確保されたお家であること。 地域によって細かい値が変わりますが、具体的には断熱等性能等級4以上の住宅性能が必要になります。断熱等級4は次世代省エネ基準同等です。

【 7. 住戸面積 】

住戸面積とは住宅内の床面積の合計を指します。一戸建ての場合は75平米※以上、マンションなどの場合は55平米以上、どちらも一の階の床面積が40平米以上必要といった広さの基準が設けられています。
※平米=平方メートルのことです

 

【 8. 居住環境への配慮 】

地区計画、景観計画、条例によるまちなみ等の計画、建築協定、景観協定等が区域内にある場合は、これらの内容に適合させ良好な景観づくりや、すみよい居住環境の維持及び向上に配慮しなければなりません。

 

【 9. 維持保全計画 】

建築時から将来を見据えて、定期的な点検・補修等に関する計画が必要になります。

計画には
1.「構造耐力上主要な部分」・・・主に住宅の骨格となりその住宅自体の重さをはじめ、地震・風・雨・雪・土砂などの振動や衝撃を支える部分 。他にも沢山該当しますがわかりやすい例として、住宅の基礎、はり、壁、柱、筋かいなど。
2.「雨水の浸入を防止する部分」・・・屋根や外壁、雨戸・雨樋などを指します
3.「給水・排水の設備」

・これらの仕様に応じた点検の項目 / 時期(点検の間隔が少なくとも10年以内であること)を決めておき点検する。その結果、必要に応じて補修等を行うこと
地震・台風時に臨時点検を行うこと
・建築後これら維持保全の実施期間が30年以上であることなどを定める必要があります。

3. 長期優良住宅のメリットデメリット

blog19-02.jpg

さて、ここまで長期優良住宅の認定を受けるために必要な9つの基準をご紹介しました。

この厳しい基準をクリアしてまで認定取得する「メリット」って一体なんでしょうか?
反対に「デメリット」は無いのでしょうか?

「メリット」「デメリット」に関しては、主にお金に関連する部分になりますが簡単にまとめてみましょう。

3-1. 長期優良住宅のメリット

メリットは大きく5つに分けられます。

1つ目は、住宅の「資産価値」が上がります

長期的に安心して暮らせるお家なので、通常の生活を営んだ場合 その住宅性能が急落することはありません。仮に売却することになっても 「長期優良住宅」の認定という客観的に指標となる基準があるので、 クォリティーの高い家であることを明確に伝えることができます。

2つ目は、住宅ローン金利が優遇されます

住宅ローンを組む際に多く利用される「フラット35」ですが、このローンでA、Bと二種類ある金利プランのうち、長期優良住宅であれば優遇された金利で利用できるAプランが適用され、10年間は金利引き下げの対象となります。「フラット35」は返済期間が最長35年ですが、また長期優良住宅であれば最長50年の「フラット50」の利用も可能になります。このローンは返済期間中に途中売却の場合、購入者にローンを引き継ぐことができるという特徴があります。

3つ目は、各種税制の軽減税率が適用されます

2020年4月現在ですが、住宅ローンを利用する場合、減税制度として年末のローン残高が一般住宅で4,000万円、長期優良住宅で5,000万円を控除限度額として10年間で1%控除されます。つまり、10年間で一般住宅は最大控除額400万円のところ長期優良住宅であれば500万円も控除されます。
さらに、消費税10%が適用された住宅(※令和元年10月〜令和2年12月31日までに住み始めた場合)であれば住宅ローン控除がさらに3年間延長されます。
また、新型コロナウイルス感染症及びそのまん延防止のための措置の影響により 入居が期限(令和2年12月31日)に遅れた場合でも、要件を満たした上で 令和3年12月31日までに入居すれば、特例措置の対象となります。

その場合、控除額は【 A|ローン年末残高※の1% 】 または、【 B|建物購入価格※の2%÷3年 】の【A】、【B】のどちらか低い額が控除対象額となります。
※一般住宅は上限4,000万円、長期優良住宅は上限5,000万円

またローンを利用せず自己資金のみで支払う場合 投資型減税として最大65万円が所得税から控除されます。

この他、登録免許税の軽減として新築住宅の所有権保存登記であれば、建物価格に対して通常0.40%の税金がかかるところ一般住宅で0.15%、長期優良住宅では0.10%の軽減税率が適用されます。
例として5,000万円の住宅購入の場合、一般住宅であれば75,000円、長期優良住宅であれば50,000円がかかります。

さらに不動産取得税に関しては通常、固定資産税評価額 ×3% (※2021年4月1日以降不動産を取得した場合は×4%)
(注・不動産取得税は土地と建物それぞれにかかります)
のところ軽減措置として新築住宅では、1,200万円の控除が受けられます。
更に長期優良住宅であれば1,300万円の控除となります。

例として建物が2,000万円の固定資産税評価額だとすると、
一般住宅は(2,000万円 - 1,200万円) ×3% = 24万円 のところ
長期優良住宅であれば(2,000万円 - 1,300万円) ×3% = 21万円 となります。

固定資産税においては、所定の要件を満たした新築住宅の建物120平米以下の部分について払う 税金が1/2に減額される軽減措置があります。また一般住宅は3年、長期優良住宅では5年と適用される期間に差があります。

例として、固定資産税評価額が2,000万円の建物で試算してみると
通常であれば 2,000万円×1.4(標準税率)= 28万円ですが
一般住宅は 28万円 × 1/2 × 3年間= 42万円(3年間で通常税率より42万円お得)
長期優良住宅は 28万円 × 1/2 × 5年間= 70万円(5年間で通常税率より70万円、一般住宅より28万円お得)
※固定資産税評価額は3年に1度見直されますが、ここでは説明をわかりやすくするため同価と仮定して計算しております

4つ目は、地震保険料の割引です

長期優良住宅は、耐震等級2以上であるので等級2の場合は30%、等級3の場合は50%の割引が受けられます。 高橋工務店の高性能住宅は、耐震等級3が標準なので地震保険は50%割引で加入することができます。

5つ目は、他の制度との併用できる点です

長期優良住宅の認定を受けるために高性能なお家を建てなければならない訳ですが、 この高い性能にするための工事に使える「地域型住宅グリーン化事業」※などの補助金が利用できます。
※2020年4月現在・地域型住宅グリーン化事業での長期優良住宅への補助金は最大で110万円(要件によって金額が+αされます)

3-2. 長期優良住宅のデメリット

それでは、デメリットに関して考えてみましょう。

まずは、長期優良住宅の厳しい要件をクリアする設計費や認定を得るための申請費、 また強度のある資材や工法を選ぶことによって一般住宅よりも コストがかかる点が挙げられます。

1つ目のメリットの裏返しにもなりますが、住宅の資産価値が上がるということは そこにかかってくる固定資産税も同時に上がってくることになります。

また、性能を維持するために継続管理を行っていくことになり メンテナンスを行った履歴を残していく必要があります。

4. まとめ

blog19-03.jpg

長期優良住宅の認定取得のメリットデメリットを挙げてみて、お話できることは「そのお家に何を求めるのか」になるのかと思います。

売却などを考えずにとことんコストパフォーマンスを重視するのであれば、認定を取る為の作業・材料を圧縮できるのでその分安価にお家が購入できます。また、購入価格によっては一般住宅の控除や減税分でカバーできる場合もあります。

希望スペックのお家にかかる費用や住み続けることで発生するランニングコストそれらをローンで支払う場合など、お施主様によって「おトク」なのかそうではは無いのかは様々だと思います。

だからこそ、住宅のプロである信頼のおける造り手とお施主様が一緒になって将来起こりそうな問題やそれらの解決法などを予め盛り込んだ住宅計画が必要になってきます。

長期優良住宅の認定を取るために要件を満たすだけのお家を作るのではなく、快適な家だからいつまでも長く住み続けたいと思っていただけるように、高橋工務店では丈夫で安心な高性能住宅を造り続けております。

「お家を建てる」ということは、とても奥が深く私たちも日々勉強を怠れません。多くの方は人生の中で何度もお家を建てるといったご経験をされる方は少ないと思います。ですので、私たちと最新の住宅情報を共有しつつ「理想のお家」を建てられるように一緒に考えていきませんか。新築やリフォームをご検討されてましたらお気軽にお問い合わせフォームよりご連絡くださいませ。

slider00.jpg

【企業理念】

見まもるくらしの提案と想像

釘一本の修繕から、新築・改装などの大きな工事まで、工務店だからこそ出来る
『顔の見える』お仕事を目指し、日々研鑽を積んでおります。